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レニー・トリスターノは何となく気になる存在だった。彼の代表的なアルバムとしてよく紹介されているのが<Lennie Tristano>というAtlanticから出ているものだ。このタイトルだとあんまりピンと来ないのだけれど、邦題の<鬼才トリスターノ>だと俄然インパクトを覚える。ガイド本によれば、多重録音した曲やらテープ回転速度を変調した曲が含まれているという。僕はこういう実験的な感じのヤツはどうにも聴きたくて仕方がなくなるタチだ。
それで初めて聴いたのは、ジャズを聴き出してからそんなにまだ年月が経っていない頃だった。普通の入門者なら当然聴いているようなメジャーなアルバムやアーティストも僕は大体すっ飛ばしてしまう偏った聴き方をしているのだから、まあ良いだろうと思う。 それはともかくとして、録音から50年以上経っているにしても、やはり今でも新しさを感じずには居られない。ガイド本とかだとクール・ジャズが云々とか書いているようだが、そんなの括りはどうでもいい。堂々たるアヴァンギャルドであり、彼なりの理想の音楽を追求した結果の作品として接すればそれで良い。マイルス・デイヴィスが後にテオ・マセロとやったようなテープ編集を駆使した作品がOKなら、トリスターノだって同じことだろう(ついでに言えばビートルズだってライヴで出来る曲とスタジオで作り上げた曲とが存在しているのだし)。 しかも、トリスターノの方はマイルスよりも10年以上早くそうしたことに挑戦しているのだ。テープ速度を上げた<Line Up>と<East Thirty Second>は結果として硬質な響きがもたらす緊張感にしても、多重録音した<Turkish Mumbo>の絡み合う各パートが醸し出す異様なムードにしても、どちらもカッコいいではないか。 あと、やはりAtlanticで出ている<The New Trsitano>というアルバムも僕は好きだ。こちらはジャケットにわざわざ断っているとおり、今度は多重録音も速度変調も一切行っていない。トリスターノのピアノ・ソロだけのアルバムである。これはこれで凄い。<C Minor Complex>や<G Minor Complex>など、ひとり<Turkish Mumbo>状態なのである。 と書いてきて、ふと思い出したのはコンロン・ナンカロウの音楽である。ナンカロウはピアノ・プレーヤーという自動ピアノのための作品<Studies>を1940年代から延々と何十曲も作り続けた作曲家だ。Wergoから5枚組で出ているboxを僕は持っているけれど、改めてトリスターノと並べて聴いてみると、結構近い立ち位置にこの二人は居たのではないかと思う。ナンカロウは最初から人力を完全に超えた状態のどうしようもなく複雑な音楽をピアノ的な音で作り上げている。特にブギ・ウギ的な曲を聴いているとトリスターノに非常に近いものを感じるのだ。 トリスターノがメキシコに居たナンカロウの作品を知っていたかどうかは分からない。ただ、少なくともアメリカ国内でも既に当時ジョン・ケージのさまざまな実験的な作品は世に出ていたのだし、それ以外にも現代音楽の作品はどんどん紹介されていたはずだ。そういう動き自体にトリスターノが触れる機会が皆無という訳ではないだろう。そう思うと、ジャズもまた一本道の歴史で進んでいったばかりではないということを考えてもおかしくはないのではないか。
by mwaka71
| 2011-01-23 22:16
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