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年末に久しぶりにCDショップを覗いてみた。ジャズの新譜のコーナーを見るとEMI系の廉価国内盤がまた沢山出ているようだ。その並びをざっと見ていたらドン・エリスの<don ellis orchestra live at monterey!>が在るのに気が付いた。正直驚いた。へえ、これも廉価盤で出る時代になったのか、という意味である。
収録曲を見るとLPの内容と同じものなので、輸入盤CDにはあったボーナス・トラックは含まれていない。まあ、それでも全然いいと思う。 その昔、と言っても15年ぐらい前のこと、僕がドン・エリスに興味を持った頃にはこのアルバムのCDの入手は難しかった。当時でも一度はCD化されていたらしいのだけれど、僕は見た事が無い。因みに、僕が最初に入手して聴いたドン・エリス作品はGNPレーベルから復刻されていた<Electric Bath>だったのだが、このアルバムの話はまた改めて。 で、<at monerey!>の方は、その後、輸入盤の中古LPで手に入れることが出来た。それまでずっとガイド本でその内容を推し量るしかなかったアルバムを到頭実際の音で聴けるのだから、それはそれは聴けるのを楽しみにしていた。そして、1曲目の<33-222-1-222>で大興奮である。 デイヴ・ブルーベックでジャズでの変拍子の面白さを知った僕にとって、ドン・エリスはどうしても聴かなければならない存在だった。先に聴いていた<Electric Bath>ももちろん大好きだったのだが、<at monterey!>の方がより僕の好みに合った。もともとバルトークやストラヴィンスキー辺りが大好物だったクラシック好きの僕にしてみれば、19拍子の音楽は当然聴くべきなのである。それだけでなく、他の3曲も本当にカッコいいと思ったし、気に入った。 2曲目<Passacaglia and Fugue>にしても、B面1曲目の<Concerto for Trumpet>にしても、クラシック音楽の要素を取り入れており、しかもそこに不自然さを感じないのである。いわゆる「サード・ストリーム・ミュージック(第三の流れ)」として現れたガンサー・シュラーをはじめとする人々の作品もいくつか知っては居るけれど、それらとは次元が違うぐらいにドン・エリスは素晴らしいのだ。 「サード・ストリーム・ミュージック」はジャズとクラシックの融合を目指したものなのだろうが、少なくともクラシック側から取り入れられたであろう要素というのは当時の現代音楽と呼ばれたものの一部のイディオムに留まっていたのではないか。具体的に言えば無調や十二音、あるいは形式などであって、これら自体が表現の目的になっていように思えるのである。それらよりも更に新しい表現についてはあまり関心を持っていなかったのではないだろうか。ケージやシュトックハウゼン、あるいはリゲティのような音楽を、あくまでもジャズ側の範疇から踏み外すことなくやる、というのは難しいことだったのかもしれない。もし、実際にそうだったとするなら、踏み外しに対する怖れが表現の幅を結果として狭めることになったのではないだろうか。その踏み外しを怖れなかった人が、例えばマイルス・デイヴィスであり、ジョージ・ラッセルであり、ドン・エリスであったのだろうと思う。 エリスはもともとクラシックの勉強もしていたはずだし、レナード・バーンスタインの<ヤング・ピープルズ・コンサート>で、何曲かソリストとして「サード・ストリーム」的な作品をバーンスタイン/ニューヨーク・フィルと共演もしているのだ(因みに、エリック・ドルフィーも一緒に出演したことがある)。また、同じような話はマイルス・デイヴィスにもあって、<Music for Brass>というアルバムでガンサー・シュラーとJ.J.ジョンソンの作品にソリストとして参加していたりする。ついでに言えばこのアルバムは現在<The Birth Of The Third Stream>というCDで他の「サード・ストリーム」作品と一緒に収録されている。 エリスもマイルスも新しい表現の可能性のありかとしてのクラシック、現代音楽、あるいは民族音楽、更にはロックやポップスに対しても関心を抱いた上で、それらを咀嚼した後に自分の音楽として世に送り出した。エリスについて言えば、初期の<New Ideas>辺りだとまだまだ「とにかく無調でやってみる」みたいな曲もあり、模索している感じがあるのだが、それが<live at monterey!>になるとスッキリと突き抜けてしまった。エリスの超絶的な変拍子についてはしばしば言われていることだけれど、もうひとつ、彼が微分音に対しても関心があったことにも触れておかなければいけないだろう。そうした要素をも取り込みつつ、更にクラシックの音楽形式も踏まえつつ、それをビッグバンドでやってのけたのが<live at monterey!>だ。 まあ、何のかんのと理屈っぽいことは言わなくても良いので、今回の再発をきっかけにドン・エリスがもっと知られてくれれば嬉しいかな、と。
by mwaka71
| 2011-01-09 03:04
| 音楽
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