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タイトルに惹かれた。
<フィガロの結婚>や<ドン・ジョヴァンニ>は、オペラ作品として知ってはいるし、その作曲家がモーツァルトであることは当然知っている。しかし、やはり当然のことながらオペラは音楽だけで成り立っている訳ではなくて、そこには台本というものが必要だ。その意味で、オペラは少なくとも作曲家と台本作者の共作と考えるべきだろう。 で、この本で扱われているのは<フィガロ>と<ドン・ジョヴァンニ>の台本作者として有名なロレンツォ・ダ・ポンテである。ダ・ポンテがイタリア人でモーツァルトと傑作をものにした人物であることぐらいしか、僕は彼のことを知らなかった。序章には彼がニューヨーカーであったことが述べられている。それは意外なことだった。 本に付けられている帯には「天才芸術家の数奇な運命」とある。ヴェネツィアからウィーン、更にロンドン、そして新大陸へと移っていくダ・ポンテの人生はまさに数奇な運命である。若い頃の彼の女癖の悪さや、上昇志向の強さが彼を安住には導かなかった。もちろん、それもまた運命の巡り会わせなのであろうが、そういう時代でもあった。それはハプスブルグ家の栄光とフランス革命からナポレオンの登場と没落、そして独立戦争後の新世界・アメリカの勃興の時代である。ダ・ポンテの生涯は時代への迎合と対決の連続のように映る。そんな時代における芸術家の生きる道の極端な一例がダ・ポンテなのだろう。 生い立ちから亡くなるまでのことがバランス良く書かれており、決してモーツァルトとの恊働部分ばかりがクローズアップされている訳ではない。その意味で、モーツァルトの出番は短い。一方で、アメリカに渡ってからの彼の活動はとても興味深い。 資本主義社会の新しい実践の場としてのアメリカではあっても、そこには芸術が無かったのだ。まだヨーロッパの芸術を支えてきた貴族社会に代わり得る層が存在しなかったからである。ダ・ポンテの最後の戦いはアメリカに洗練された芸術を根付かせることだった。アメリカで最初に有名になったイタリア人はコロンビア大学の「イタリア語教授」のダ・ポンテであったし、アメリカで最初に出来たオペラ・ハウスの建設に尽力したのもダ・ポンテなのだそうだ。そして、晩年の彼は一種、伝道師のように見えてくる。決して功なり名遂げた訳ではないにせよ、こう眺めてみると、ダ・ポンテの一生は本人にとっても「悪くはない」人生だったのではないか、と思う。 余談だけれど、この本を読みながら、僕は「さまよえる大分人」としての自分の人生をふと思い起さずにはいられなかった。まあ、僕は女運が無いだけで女癖が悪い訳ではないことは確かなのだけれど。
by mwaka71
| 2010-09-08 01:56
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