陶芸家、板谷波山を描いた作品。
美術教師の職を捨てて、創作の道へ入る波山。妻子や周囲に苦労あるいは迷惑をかけながらも、自分の信念を曲げずにひたすら創作に打ち込む姿は、文字どおり「芸術家」だ。それを観ながら思い出したことばは「男子の本懐」というやつだ。上映前のトークで榎木孝明が言ったとおり、家長がある種絶対的権威を持っていた時代だからこそ可能だった波山の暴走である。しかしそれがただの暴走に終わらなかったのは、上述のとおり信念を貫き通し、かたちに結実させたからだ。その頑固な生き方をうらやましく眺めさせてもらった、そんな一本。