私が<アメリ>という映画を好きなことは、私の近くにいる人は知っている。まあ、本当は作品そのものではなく、「アメリ」というキャラクターが好きなのだが。とにかくその「アメリ」、ではなく、を演じたオドレイ・トトゥの主演作ともなれば見逃す訳にはいかない。
出だしはまさに<アメリ>の世界のようだ。しかし何かがおかしい。次第にうっすらと気が付いてくる。あ、これはヤバイ話なのか。そうこうしているうちに、画面は突然時間を遡る。一瞬<ラン・ローラ・ラン>かと思った。が、やっぱり違う。当然ハッピーエンドにもならない。むしろ、怖い。
<アメリ>と同種のものを期待していくと、ひどく後味の悪い思いをすることになる。違った言い方をするならば、「俳優」オドレイ・トトゥの別の側面を見つけられる作品ということになるのだろう。それはそれで良いけれど、やっぱり私は「アメリ」の方がいいなあ、と思った次第である。