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子供の頃から怖い話や怪談話は苦手だ。もちろん、いい年こいたオトナにはなったのだから、昔よりはマシにはなった、とは思うのだが。
昔を思い出してみると、小学生時分には土曜の19時から毎週観ていた<まんが日本昔話>では、夏場になると必ずと言っていいほど怪談話があった。だから、そういう内容だと分かればブラウン管の前から離れたものだ。 また、中学1年の時の英語の教科書に<MUJINA>という話が載っていた。要は「置いてけ堀」の話である。それの元になっていたのが、小泉八雲の<怪談>だった。正直言えば、当時の僕はあの程度の話でも十分怖かったから、教科書のそのページを開けるのも嫌だった。妙におどろおどろしい挿絵も載っていたからだ。 小泉八雲を初めて知ったのがその教科書だったかどうかは定かではないが、とにかく僕は未だに<怪談>の方は読んでいない。とは言え、自分の興味や関心自体は、昔に比べればいくらかは広がったと思う。日本の伝統や文化、民俗的なものに関心を持つようになると、自ずと小泉八雲にも近付いていくことになる。だから、そろそろ<怪談>に手を付けてもいいかなとは思う。 その前哨戦という訳でもないが、<怪談>ではない彼の文集を読んでみた。ちくま文庫から出ているアンソロジーで、八雲が書いた夢、自然、昆虫、海などをテーマとしたまとめられたものだ。 もちろん八雲の文章をこれだけきちんと読むのは僕は初めてだったのだが、いくつかの点で大きな感銘を受けた。ひとつは驚く程に鋭敏な観察眼である。それは彼が西洋人であって、日本で触れる物事が全て珍しかったから、ということを差し引いても、なお言えることだと思う。そして、それらについて余計な先入観を挟まずに受け止める感性の豊かさ。またそうして受け止めたものを瑞々しく表現しなおす優れた文章力など。ここにある文章たちが、全て邦訳されなおしたものであるとしても、原文(英語)が素晴らしいからこそのことだと思う。 この本の中にも、話の展開の中で結果的には怪談話は出てくるが、それらが生まれた背景や関係性などと関連づけて紹介されているから、抵抗なく読めた。そしてそれぞれがただ「怖がらせる」ことを目的としているのではなく、その後ろにある情や思いといったものが透けて感じられるから、話によっては心打たれるものもあった。 収録されているどの文章も本当に感銘を受けるのだが、いくつか挙げるなら現実と幻想の境目を漂う思念を詩的な表現で表した<夜光るもの>や、露の玉を通して「自己」や「無」について考える<露のひとしずく>、お化け屋敷の体験から始めて最後には美しい幽霊話へと昇華していく<幽霊と化け物>などなど。「情」が「自然との共生」に結び付くことで生じた、信仰、忌避、行動、文化というものが、かつての日本には豊かに息づいていたということを八雲は教えてくれるのだ。
by mwaka71
| 2008-05-19 23:21
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