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僕がクラシック音楽を聴き始めた頃に比べると、ショスタコーヴィチへの評価は随分と変わったような気がする。1980年代前半、既に<ショスタコーヴィチの証言>の邦訳も世に出ていた。僕はよくはわからないながらも、高1の時にそれを何となく読んだ。後々、それが偽書である疑いが強まっていくことになるのだけれど、それでも政治的に抑圧された中での表現者のあり方を一般的な問題として考えるには十分だった。
さて、肝心のショスタコーヴィチの音楽についてはどうだったか。僕もごたぶんに漏れず交響曲第5番から入った。有名なムラヴィンスキーのウィーン・ライヴのもののエアチェック(NHK FMリクエスト番組から)して、繰り返し聴いた。だが、まだショスタコーヴィチが分かっていたとは言えない。その後、何故か交響曲第15番のロジェストヴェンスキー盤をLPで入手した(全面CD時代直前のことだ)。少し見えてきた。更にカラヤン盤で交響曲第10番に至った。 閧ニ現れた。 やはり高校時代に何日間か連続でFMでショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の全曲のライヴ録音(ボロディン四重奏団のイギリスでのライヴだったはず)が放送された。全部エアチェックして、やはり繰り返し聴いた。8番はもちろんだが、9番や15番に震えた。 大学に入った。最初の夏休み、小倉に遊びに行った。中古レコード市が開催されていた。そこで<24の前奏曲とフーガ>のレコードを見つけた。演奏はタチアナ・ニコラーエワ。実家で解説を見ながら聴いた。これまで掴みかけていたショスタコーヴィチの内省、内声が聴き取れるようになった。「前奏曲とフーガ」という形式を用いてはいるが、そこに軽さも重さも、動も静も、異様なハイテンションも、どこまでも奥深い闇も、さまざまな表情が自由に描き込まれているのだ。 僕は最初に第4番ホ短調が好きになった。ピアノはろくに弾けないが、頭の中で補正しながら自分でもやってみた。二重フーガになり、最後に絡みながら閉じられるところが特に好きだった。第12番は荘重なパッサカリアの前奏曲に、5拍子でリズミカルなフーガが続く。テーマが打ち込まれるごとにハッとさせられる。第15番のフーガになると拍子も調もぐじゃぐじゃになる。24曲の中でいちばん混乱した曲かもしれないが、それでもきっちりとフーガになっている。「楽しさ」と「怖さ」とが紙一重な曲だ。 白い闇、と書くと矛盾しているのだけれど第8番や第16番のフーガを聴くとそんな表現が頭をもたげてくる。ピアノという楽器だからこその滲みかもしれない。 この曲集の初めてのCD(少なくとも国内盤で)はキース・ジャレットだったはずだ。とりあえず買ってみた。ニコラーエワとは全く違うアプローチだった。線ではなく、重なりあう響きの微妙さに軸足を置いたような演奏だと思う。決して正統的なものではないだろうが、それはそれでギリギリでアリだろう。ショスタコーヴィチ自身も全部ではないがかなりを弾いている。少々荒っぽい所もあるが、基本的に素晴らしい。彼がベートーヴェンの後期のソナタを弾いてもきっと壮絶な演奏をしたんじゃないだろうか。 僕は最初の職場(某公立文化施設)に居た頃、ニコラーエワの演奏でこの曲集をやってみたかった。その次の年に彼女が亡くなったというニュースを聞いた。最後の演奏会で彼女はこの曲集を弾いたのだそうだ。
by mwaka71
| 2006-10-07 00:07
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