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読んで字の如く、の曲である。第1次世界大戦で右手を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱でラヴェルが書いた作品である。ヴィトゲンシュタインは他にプロコフィエフやブリテンなどにも作品を委嘱しているが、やはりいちばん有名なのはラヴェルのものだろう。
もっとも、この曲を両手で弾いてはいけない、ということもない。そもそもラヴェル自身が上手く弾きこなせなかったというぐらいだから。そんなことより大事なことは、それが片手であろうと両手であろうと、純粋にピアノ協奏曲として聴いた時に、この作品が非常に独創的で、その上大きな感銘を与えられるということだ。 構成をざっくりと言えば、単一楽章でその中は「緩-急-緩」の3つの部分に分けられる。 冒頭、低弦の暗い色調の中から、コントラ・ファゴットがぼんやりと最初のテーマを浮かび上がらせる。上昇→下降→上昇という波を描いて、結局高いところを目指すメロディである。その次にホルンがやはり低い音で、ブルージーなメロディを出す。この2つが混じりあい、次第に高ぶり、その頂点でピアノが現れる。完全にオケと対等な、堂々とした現れようである。その後、2つのテーマを使いながら、次の、しかし全く異なる頂点を目指すために音楽の動きが早まっていく。スリリングである。 再び登り切ったところで、ミュートのついたトランペット3本で、直線的に下降音型が吹かれる。このスッパリとした切れ味の鋭さがカッコいいな。そして今度は硬質だが飛び跳ねるようなテーマが出る。これとさっきのブルージーなメロディが絡む。繰り返し絡むうちにまた盛り上がっていく。構造的に難しいことは何もない。ただ、楽器の組み合わせ方と音量のバランスの取り方で実に劇的な進行を聴き手に示すラヴェルの力は、何度聴いても凄いと思う。 曲が落ち着いたところでピアノがソロになる。ラヴェルのピアノ・ソロ作品と何の変わりもなく、美しい音楽。そして全曲の冒頭のように最初のテーマがじわじわと積み重なっていく。広がり切ったところで、またちょっと走り出して一気に全曲を締めくくる。 <ラ・ヴァルス>のような狂気すれすれの音楽ではないし、<ボレロ>のような計算ずくの音楽とも異なる。もっと言えば、同時期に書かれた<ピアノ協奏曲>が音楽作品としてより精緻で技巧的だったのに対し、<左手…>はラヴェルとしては、もっと芯の太い音楽になっているように聴こえる。 ちなみに僕の個人的な趣味で言えば、<左手…>の方が好きだ。そのダークさと直線的な熱狂ぶりが性に合うのかどうなのか。
by mwaka71
| 2006-06-21 23:56
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