地元のアマチュア合唱団の演奏会を聴いた。アマチュアとは言え大分でいちばん上手い団体だし、コンクールでも全国大会の常連だ。
仕事があったため、聴けたのはだいたい半分ぐらいか。
その半分が面白かった。まず武満。彼の作品、というよりは「うた」と言った方が良いだろうが、数曲演奏されたが、何と言っても<死んだ男の残したものは>が素晴らしい。切ないメロディが次第に高潮していくさまにはグッと来る。疲れていたせいもあったかも知れないが少し涙が出そうになった。あー、この感覚、似たような経験があったなあ、と思う。そうだ、武満の師匠、清瀬保二の<無名戦士>を聴いた時の感覚だ。全く自然に聴き手の心を打つ音楽である。
続いて柴田作品。こっちはシアターピースの<追分節考>が演奏された。ステージ上に女性団員が、客席に男性団員が散らばる。指揮者の指示で、予め決められている音や民謡が不確定に歌われる。もうひとつ研ぎ澄まされた演奏で聴きたかったけれど、十分に楽しめた。ホール全体に独特な音空間が現れる。ルトスワフスキのような「管理された偶然性」の音楽の類似系ではあるが、それが硬質なものだとすると、柴田のは柔軟である。不協和音だらけと言えば、だらけ、であるが、日本に生まれ育った者には何ら違和感を覚えることはないだろう。そんな音楽。
こういう音楽はやっぱナマだな。