細見美術館に行く。いつ訪れても気持ちの良い美術館だ。
今回は琳派である。僕は、これまで江戸時代の美術というと、まずは浮世絵であり、若冲であり、竹田だったりするぐらいで、光琳や宗達にはどうもイマイチ興味が持てなかった。
しかしかなり見方が変わった。それは、この前ミュシャを観ていたからだろう。今回、宗達や酒井抱一が描いた植物を見ていたら「ああ、これはアール・ヌーヴォーだな」と思ったのだ。近めには繊細で職人技を感じさせるのだが、遠目には意外に大胆なデザイン性を感じたからだ。特に雲母刷りで仕上げられた<光悦謡本>の表紙や、抱一の<白蓮図>あたりにそれを感じていた。すると、キャプションにも「アール・ヌーヴォーに影響を与えた」とあった。お、いい感覚じゃない?自分、とつい思ってしまった(笑)。
一本の草木が持つ、かたちの美しさと色の鮮やかさとを、繊細な眼差しをもって仕上げていった彼らの作品は、じっくり時間をかけて観れば観るほど、その味わいが増してくる、そんな感じがした。