竹中直人の久々の監督作品。前作の<連弾>は、個人的には大コケだったと思っているから観に行くのも少々ためらわれた。が、原田知世! 観たい。観るべき。
やはり小さな笑いを狙っているところはあるし、そもそもチョイ役の人々、忌野清志郎、片桐はいり、三浦友和などに気づくとついそっちに気が取られてしまう。100パーセント、ストーリーだけに観る者を固執させないのがいいようなそうでないような。
実は竹中演じる医者の病気のことが分かるあたりで、ある程度ストーリーが見えてしまってはいた。医者の死と入れ替わりの原田知世演じる女の回復である。もちろんそこに恋愛が絡む。そして、これが成就するかのようでしないところが切ない。筋が分かっているとしても、である。現に僕が観た時に周りの何人かの女性客は泣いていた。一応、僕だって軽くグッとはきたさ(笑)。だが、そのエンディングまで行くと、狙いが過ぎるようでちょっとあざとさすら感じた。前半の筆談のシーンとか非常に良かったと思うし、もちろん全体としては、佳作とは思うのだけれど。
出演者陣はみんな良かったと思う。中ではやはり原田知世。素敵だね。あと久しぶりに見た段田安則の見事に不自然な雰囲気が却って可笑しい。
何とか言いながらつい観てしまう竹中作品。次回も観てしまうんだろうな。