久々にクラシックの大曲を聴いた。演奏時間にして100分以上を要するバッハのミサ曲である。
巨大。圧倒的な存在をまずは感じずにはいられないのだが、それは聴き手を押しつぶすようなものではなくて、目の前に広がる広々とした空間だと言う意味である。バッハが最晩年に、旧作の転用と改作を書き下ろしに加えたものではあるが、それらはバラバラになることなくひとつの空間を形成している。建て増しに建て増しを重ねた建築物がアンバランスな外面を曝すのとは大違いである。
<マタイ>を聴いても思うことだが、バッハのオーケストレーションのセンスの素晴らしさ! 全合奏になることは実はそれほどなく、限定された楽器扱いの曲の方が多かったりする。とは言え、例えばコルノ・ダ・カッチャと2本のファゴットに通奏低音という組み合わせ、あるいは2本のオーボエ・ダモーレと通奏低音という組み合わせは、一見質素かも知れないが、聴いてみればそれぞれの曲にピタリとくるものであることは直ぐ分かる。
しかし僕は未だバッハのこの広々とした空間について積極的な親しみを持って語ることができない。もっともっと入っていきたい世界なんだけど。
はい。勉強します。