僕がイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の音楽の面白みを実感するようになったのはせいぜいこの5年ばかりのことだ。僕はYMOをいくらかでもリアルタイムに知っている世代ではある。<ザ・ベストテン>とかの歌番組に、<君に胸キュン>とかで登場していたのを観た記憶がある。今から20年以上前のことだ。こっちは小学生だから流行り歌のひとつぐらいにしか思っていなかったし、当然他のヒット曲との違いなど考えもしなかった。
だが年をとるにしたがって、僕は段々と彼らの音楽に近づいていった。まず<戦場のメリー・クリスマス>や<ラスト・エンペラー>、バルセロナ・オリンピックの開会式などで、坂本龍一の音楽に随分と親しみを感じるようになった。これは僕がクラシック音楽からのアプローチをw曲のルーツに繋がるような名盤たちだ。
そして5年ほど前、ある時ふっと「Rydeen」を聴きたくなった。が、確かこの頃は何故かYMOのアルバムは軒並み廃盤だったはずだ。運良く中古CDショップで<公的抑圧>を見つけた。聴いた。イイ。すごくイイ。カッコいいぞ。このビートだ。僕はようやくYMOそのものを本気で聴くつもりになった。この時点で僕はジェームス・ブラウンやマーティン・デニーとかも聴いていたので、すんなりとYMO的音世界にハマれた。
その後、僕は中古CDショップやネット・オークションでちょこちょことYMOのCDを入手した。どれもこれも素晴らしい(特に<BGM><テクノデリック>)し、面白かった(何と言っても<増殖>)。YMOにハズレ無し、である。
YMOのたいがいのアルバムは現在また店頭に並んでいるが、中には再発売されていないものもある。例えば<ライブ・アット・紀伊国屋ホゥく珍しいのだが、タイトなドラムがカッコいい。これを聴くと実は最初から最後期のテクノ歌謡への道筋が存在していたことが分かる。
ついでに言えば、このCD、細野によるメンバー紹介も収録されている。声が若い(笑)。