役者陣はそれぞれに存在感があり、素晴らしいと思われた。少なくとも一癖はある女を演じる広岡由理子は、またいつものように面白かった。渡辺いっけいも長塚圭史も、他の出演者もみんな良かったと思う。
なのに、もうひとつ楽しめなかった理由はストーリーにある。2時間を少し切るぐらいの上演時間ではあったが、舞台上の時間の流れ方はゆっくりで、空気も何か「ぼんやり」と、と言うよりは「もんわり」と表現したくなるようなものだった。ストーリーは終わりに向かって進んでいくようには見えなかったし、そもそも舞台上で行なわれていることが連続した物語のようにも見えなかった。で、楽しめなかった。
と思っていた時に、脚本の岩松了のコメントが載っているページを見つけた。なんだ、そうだったのかと理解できる(ストーリーではなく、岩松の考え方)内容ではある。しかしそれを差し引いても、分かりづらい作品に思えてならない。
もちろん連続したストーリーである必然性はないのだけれど、あまりに舞台上(出演者や設定)の緩やかな繋がりが、却って観る側にもどかしさを覚えさせたのではないだろうか。