真面目に観ている訳でも何でもないのに、私は何故かNHKの朝の連ドラのことを意外に知っていたりする。
<ほんまもん>という連ドラが何年か前にあった。池脇千鶴主演である。話の中身も大したものだとは思っていないが、それ以上に池脇千鶴。どう見ても「料理屋ケンちゃん」とでも言いたくなるような格好には笑った。シリーズの最初だけかと思ったら、最後までやっぱりイメージは一緒だった。要は彼女が子供っぽく見える、ということだった。
<大奥>というドラマが最近あった。やはり観るつもりはなかったのだが、木村多江のために何回かは真面目に観た。池脇千鶴も出ていた。だがどうも観ていてしっくりこない。ヅラが似合わないように見えたからだろう。
今年に入ってシネマ5で、この<ジョゼと〜>の予告編を何度か観た。これは観るべきだろうと思った。
そして観た。無理な力の入らなさ加減に非常に良い印象を持った。それは犬童監督のセンスだろうし、妻夫木聡も上野樹里もその他豪華な脇の人々(SABU、荒川良々、板尾創路、大倉孝二など)も良かった。が、そういった人々よりもこの映画は池脇千鶴である。これは凄かった。他の俳優で「ジョゼ」が演じられることなど想像も出来ない程だった。
偏りのある読書でものごとを知ってきた「ジョゼ」は、一方で現実の社会の中での他人とのつきあい方はほとんど知らない。だから、なのだろうが、ひねくれた面を他人に見せがちになる。しかし、本人が愛嬌を振りまいているつもりが無ければない程、その自然さが彼女の魅力となって現れてくる。ストレートにはつながらないのだが、彼女「ジョゼ」のあり方は、私に何となく「アメリ」を思い出させた。他人との接触の際に見せるある種の不器用さの質(しかし憧れというものはしっかりと持っている)が似ているように感じられるのだ。因みに私はこのテの女性に弱い(笑)。
総括する。ああ、いい映画を観たなあ、と素直に思える作品であった。