岩井俊二の作品を久しぶりに観た。多分<四月物語>以来だろう。印象は、やっぱり変わらない。
まず画はとてもきれいだ。ひとつひとつのシーンが、カットが絵になる。
だがそれらは常に他人の目から見た景色だ。登場人物の誰でもない、また物語に対する「共感を持った神の視線」でもない。ひとことで言えば他人の目だ。確かに物語はある。が、ぼんやりとしている。登場人物たちはリアルなようでリアルでない。演技がまずい、とは全く思わない。むしろ鈴木杏も蒼井優も良い(因みに私の最大の目的は木村多江だったことを白状しておく)。だが全ては岩井俊二の想像(創造)の世界のおはなしである。映画館のせいなのか、それとももともとそういう録音なのかは分からないが、台詞よりも音楽の方が音量が大きく聞こえた。もしもともとであるなら、なおさら物語は二の次だ。
冒頭、二人が電車に乗る駅が「水木」だった。どこの駅だろうと思った次の瞬間「石の森学園」という駅名を観て嫌な予感がした。それは当った。とにかく、このテの笑い?が一体何を目的にしているのか、私には理解できない。
きれいな画におはなしがくっついている、とにかくそんな映像作品とみたのだが。