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僕が一時期イギリスの作曲家を追っかけることになったきっかけの作品だ。僕にとって、エルガーは<威風堂々>でもチェロ協奏曲でもなく、交響曲第2番なのだ。
正直なところ、エルガーには当たり外れがあるように思う。非常にオーケストラの扱い方も素晴らしいし、おっと思うようなフレーズが耳に飛び込んでくることはしばしばだ。だが時に音楽が弛緩し過ぎて退屈を催してしまうことが僕にはある。 交響曲第2番にもそんな危うい瞬間(第4楽章の終わり近く)が無い訳ではないが、それは基本的に演奏の問題なのだろう。だから、そこさえ抜けてしまわなければ、僕にとってこの作品は完璧なのだ。 第1楽章の冒頭から3管の管弦楽が華々しく鳴る。しかし、それは下品さや下世話さとは全く無縁で、高貴さすら感じる。音楽に向って「品格」という言葉を使うとすれば、この作品にこそ相応しい。それが全く自然に備わっているのだ。 この「品格」は、エルガー自身の個性であると同時に(彼はしばしば楽譜の表情記号として「nobilmente」というものを使っている)、時代の空気の反映でもあったように思う。それはちょうどマーラーの音楽が世紀末のウィーンの空気の象徴であると言われるのと同じ意味だ。エルガーのこの交響曲第2番はマーラーが死んだ年、1911年に初演されたている。マーラーのように苦悩を味わい尽くし、精神の煉獄も地獄も見たその先に現れる彼岸としての<大地の歌>や交響曲第9番と、エルガーの音楽は確かに違うかもしれない。しかし、エルガーにはエルガーなりの時代の肌合いがある。それは懐古的でもあるし、退廃までは行かないにせよ、ひとつの時代が終わりに近づいているという感覚、黄昏の色合いがやはり含まれているように思える。 第2楽章の沈鬱なムードも、一転して第3楽章の軽やかさ(この楽章の中間部の盛り上がり方は圧倒的だ)も、根は同じだ。 そして、第4楽章の朴訥ささえ感じられる冒頭主題は次第に昂り、「con fuoco」と記された部分で頂点を築く。そこでsolo扱いになった1st.トランペットが高いCの音を響かせる。これはたった1小節だが、頂点への到達感がこれ以上無いかたちで表されており、僕はこの部分を聴くゥもしれない。威厳を保ったまま、それは去って行く。その美しさ、「品格」こそエルガーの最良の部分だと僕は思っている。
by mwaka71
| 2007-03-17 00:16
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