名盤中の名盤。邦題<ブルースの真実>。
1曲目<Stolen Momnets>の出だし、いきなり、まさにブルージーとしか言い様のない哀調と気だるさが場を支配する。フレディ・ハバードもエリック・ドルフィーもそのムードに見事にノッた素晴らしいソロを続けていく。だがそれ以上にオリヴァー・ネルソンのソロが良い。ここで彼は別にアクロバティックな細かな動きを見せる訳ではないのだけれど、泣きすら感じさせるヴィヴラートをたっぷり効かせた長い音を多用し、聴いているこっちも泣かせてくれる。しかし、ただ泣きの一手ではなく、リズム・セクション、特にポール・チェンバースの太いベースの音が全体をきっちりと引き締める。
一転して陽気な<Hoe Down>。やはりチェンバースとドラムのロイ・ヘインズの推進力がものを言う。それに乗っかっていくネルソン、抑えめに始めといて終わりには怒濤の攻めのソロ。
後に続く4曲共にやはり素晴らしいのだけれど、全体を通してドルフィーの暴れっぷりとチェンバースの締めっぷりが聴きものだ。最後の<Teenie's Blues>なんか、ドルフィー節炸裂のソロ(<草競馬>っぽいフレーズまで飛び出す)の下で、お構いなしにブンブンと鳴らし続けるチェンバースとの対比が面白かったりする。そしてここでもネルソンは、つかまえた音型を渋とく(良い意味で)展開していく。
聴けば聴く程味わい深い。ま、それを名盤と言うのだろうが。