気分、体調ともに絶不調だが、せっかくなので観に行ってみた。
いきなり<春の祭典>、しかも終曲から始まる。
何故だろうか、今日の僕には、と限定した方が良いのかもしれないが、それがひどく色褪せて見えた。男女のペアが、いかにもアレを想起させる動き、それがどうにもアカ抜けなく見えてしまう。以前に、多分1960年代くらいにこの振付けで行ったパフォーマンスの映像を観たことがある。その時は、今日ほどには?マークはつかなかった。
<ハルサイ>の後は<ロミオとジュリエット>、チャドの民族音楽を使った<ヘリオガバルス>とかマーラーの<さすらう若人の歌>などが続く。
後半、<バレエ・フォー・ライフ>からクイーンの<ボーン・トゥ・ラヴ・ユー>やモーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章などが舞台上に現れる。最後かな、というあたりでまた<ハルサイ>。かたちの上では<ハルサイ>を枠にして、その間にベジャールガ描いてきたさまざまな「愛のかたち」を並べる、ということか。そして<ハルサイ>で終わったかと見せかけて、最後にクイーンの<ショウ・マスト・ゴー・オン>が来る。本当ならベジャールが舞台のど真ん中に立つような絵柄だったのだろうか。しかし、これは「カーテンコールのシーン」である。最初から演出として織込み済みの場面である。これは最も悪い表現になるのだろうが、そのナルシスティックさにあざとさすら感じる。
繰り返しになるが今日は僕自身の調子も悪いので、かなりひねくれた感じになっていることは承知しているが、総括。
ベジャールは結局クイーンの音楽みたいなものだったのか。めちゃくちゃに革新的ではないが、十分にキャッチーではある。もちろん面白く思える部分も少なくはない。そして、いささか過剰演出気味のノリにハマる人はハマる。ただし、同時に少々時代がかって見えてしまう。ということは、ベジャールの芸術は20 世紀をまたぎきれなかったのかもしれない。