最近、最も興味深く聴けるのはアフリカのポピュラー音楽である。少し前にシエラ・レオネのジェラルド・ピーノのことを書いたが、これまでにも少しずつだがナイジェリア、エチオピア、ギネアあたりのアーティストの音楽に手を出してきた。
で、今日はベナンのアーティストである。
そもそもベナンて何処だっけ? 申し訳ないけれど、アジアのいちばん隅の国の住民としてはさっぱり分からない。手元にパッと地図が出て来ないので、解説コメントを読むとナイジェリアの隣の国らしいことだけは分かった。だから、まああの辺かな、とはとりあえず思う(ホントに?)。
さて、T.P.オーケストラ・ポリリズモ。ベナンを代表するバンドなのだそうだ。1960年代半ばに結成されて未だに現役らしいが、彼らの最盛期は1970年代だという。このアルバムはその頃の録音を集めたベスト盤だ。
「ファンク/ソウルとアフロビート、そしてラテン/アフロ・キューバンを鍋にぶちこんでグツグツ煮込んだようなその濃厚かつポリリズミックなサウンドが最も過激だった70年代」と帯の紹介コメントにはある。
結論から言う。
この帯コメントに偽りなし、なのである。そのとおりで、いろいろな要素が聴こえてくる。フェラ・クティを非常に都会的にした感じもあるし、むしろデヴィッド・バーンのトーキングヘッズのノリにも近いように感じた。更にブエナビスタ・ソシアル・クラブに土をまぶした(笑)ようなキューバン調の音楽も存在する。この時代のアフリカのミュージシャンにとってジェイムズ・ブラウンの音楽は良い教科書になったことだろう。
バンドとしての実力も相当なものだと思う。見事に引き締まっているリズム。アーチー&ベルズの<Tighten Up>を思い起させる<Los Djosッでも十分だ。
洗練されることを拒んだ訳ではないだろうが、どこか垢抜けなさが残ることが却って2006年の僕の耳には強烈な印象を与える。
アフリカ・ポピュラー音楽紀行、まだまだ続くぞ。