暑い。というより蒸し暑い。うっとうしい。
それでも音楽は聴くのだ(笑)。
ということで、いきなりだが<チュニジアの夜>を聴きたくなった。いろんなアーティストがやっている曲だから、どのヴァージョンを聴くかは気分次第である。でも僕にとっては、まずはアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズの演奏だ。1960年録音のアルバム、<A NIGHT IN TUNISIA>の1曲目。11分の演奏時間のうち。ラスト3分近くはおまけみたいなもので、実際はそれまでが全てだ。
いきなりバシャーンとシンバルが炸裂する。多分リー・モーガン(トランペット)とウェイン・ショーター(テナー・サックス)が小物パーカッションを持っているのだろう。シャカシャカとリズムを刻んでいく。意外に早いテンポだ。テーマの後、ショーターのソロが来る。更にリーが続く。両者とも冴えたソロを聴かせてくれる。
しかしそれ以上にスゴいのは親分。即ちブレイキーのソロ。熱いぞ。外の空気よりも熱いぞ。ここでのブレイキーは、ラグビーで大柄のフォワードが、相手のディフェンスを引きずりながらゴールに向かって走っていくような演奏だと思えば良い、かな? こんなプレイを目の当たりに出来た当時のジャズ・ファンが羨ましい。
暑い日に辛い料理を食べたくなるのと同じ効果があるね、これは。しかしその効能が半世紀近く経った今でも有効であることが、まさに驚異的だ。