シネマ5で今日からビリー・ワイルダー特集が始まった。
前にも書いたが僕は三谷幸喜が好きだ。その三谷が尊敬しているというワイルダーを一度はスクリーンで観たかった。で、今日はとりあえず<お熱いのがお好き>を観た。
<お熱いのがお好き>と言えばまず思い出すのはマリリン・モンロー。ということになっているはずだが、僕は女優モンローをほぼ知らない。
観た。
「あの名作はこんなに面白かったんだ」というチラシのことばどおりだった。モンローはもちろん、他の出演者たちもみんな素晴らしかった。だがそれ以上なのは明らかに監督だ。出演者たちのキャラクターを見事に浮き上がらせる演出は実に冴えていると思う。「んな、アホな」というようなストーリー展開であっても、「嘘だろ」とまでは思わせないギリギリのところでの踏みとどまり方が、面白く大いに笑えるのだ。白々しいことをやってもそうは思わせないのが一流のコメディだ。
台本作家としての三谷は素晴らしい。映画監督としての三谷も好きだが、ワイルダーを観るとまだ先があることが分かる。と同時に三谷には日本のワイルダーにもなって欲しい。今の日本ではなかなか笑い、しかも上質のコメディを提供してくれる映画監督はほとんどいないからだ。